さる5月11日(水)、平成16年度日米エア・フォース友好協会(JAAGA)の年次総会 (第10回)がGH市ヶ谷に於いて開催された。 総会は出席者57名及び委任状提出者174名により成立。冒頭、故高巣英一会員の冥福を祈って全員で黙祷を捧げた。次いで村木鴻二会長から平成16年度年次総会の開催にあたり、会員多数の参加を得たことに謝意を表明し、「JAAGAは創設8年目を迎え再来年には10周年の節目を迎えるところ、多くの会員のこれまでの協力と支援に感謝したい。そして、この間 働き手とも云うべき各常務理事がボランティア精神で鋭意活動し、その成果としてJAAGAがより良く機能していることを自負し、こうした努力の積み重ねに敬意を表したい。しかし 8年目ともなれば組織の硬直化の恐れもあり、この点も考慮し、本総会の議案審議は勿論、今後種々の場面で客観的・大局的な御指導御鞭撻をお願いしたい」と挨拶するとともに、全会員による継続的な協力と支援を要請した。  引き続き第1号から第5号までの議案審議に進み、平成16年度事業報告、同決算報告及び同会計監査報告、並びに平成17年度事業計画案、同予算案及び役員の選任に関する各議案について担当理事から説明を行った。予算と事業執行のバランス、特に会勢拡大活動の充実化を図るべき事等について若干の質疑応答がなされ、何れの議案も提案通り議決された。 役員改選では、伊藤淳副会長及び後藤龍一副会長が退任し、後任に山口利勝氏及び細 稔氏が、退任する桑原武彦監事の後任に吉川武秀理事長が、新理事長に竹河内捷次氏が就任した。その他、副理事長に平田伸成氏、理事に川田哲雄氏、そして内山好夫氏以下 6名の常務理事がそれぞれ就任し、退任役員及び新任役員に対する盛大な拍手を以って総会は滞りなく終了した。

 総会に続く記念講演会は、在日米軍司令官兼第5空軍司令官ブルース A.ライト中将が、会員、在日米軍及び防衛庁(内局、統幕及び空幕等)の幹部等の招待者(聴衆約 180名)を前に、「Joint Bilateral Command & Control(統合共同指揮統制)の将来ビジョン」と題し、外国では初めてのブリーフィングとのコメントを付した上で、意欲的なブリーフィングを実施した。講演冒頭、日米共同演習「Keen Sword(鋭い剣)」の訓練状況の映像がスクリーンに映写>された。臨場感漂う中、先ず自衛隊と米軍における統合共同指揮統制に係る変革の動きとして、来年 3月の自衛隊統合運用体制への移行や、同じく 6月に計画されている日米共同演習「Keen Edge(鋭い刃)」を取り上げ、これらを背景として今後編成が予定される JTF(Joint Task Forces:統合任務部隊)の重要性を強調した。次にBMD (Ballistic Missile Defense)における指揮統制という観点から、弾道ミサイル対処における衛星・ AWACS 機・イージス艦・ペトリオットミサイル・地上システム等による迎撃要領の一連の流れをわかり易く図示説明し、これらの複雑なシーケンスがシステム全体を通して円滑に機能するためには、日米双方の各コンポーネント間での情報共有と指揮統制の演習が極めて重要になると述べた。また BMDは統合共同指揮統制に係る体制をレベルアップするための促進剤であると同時に、日米同盟の抑止力に関する信頼性の脈絡においても重要な位置付けにあると言及した。そして今後のビジョンとしては、統合共同指揮統制機能の向上と IT (Information Technology)機能の強化が日米同盟の変革・充実のための多大な機会を創出するものであると述べた。終わりに、統合共同作戦あるいはジョイント・オペレーション等と云うと、それは直ちにコミュニケーション・ツールやシステムの構築ということに直結して発想されることが多いが、最も重要なことは「人と人とのつながり」であることを再度強調し、「一つの任務、一つのチーム !( One Mission,One Team! )」を結言としてブリーフィングを締めくくった。熱気溢れるブリーフ振りに会場満杯の聴衆からも質問が相次ぎ、これを打ち切っての満座大拍手の中、村木会長より謝辞と記念品が贈呈がなされた。

 会場を移しての懇親会は、在日米軍及び防衛庁主要幹部(内局、統幕、空幕等)並びに山崎日米ネービー友好協会(JANAFA)副会長など多数の内外の来賓が出席された。先ず主催者を代表して村木会長から4度目の日本勤務となったライト司令官御夫妻に対し、「お帰りなさい!」とスピーチを切り出した。このスピーチの中で同会長は「ライト司令官が海外出張スケジュールを一部変更してこのJAAGA年次総会総会関連行事に参加し、記念講演を引き受けられたことに重ねて御礼申し上げる。日米同盟がよく機能している今こそ、更により良い関係の構築が目指されるべきであり、片務的関係からカウンター・パートナーとしての協力関係に向けて日米双方の一層の努力が必要である。こうした状況の中で、今般ペンタゴンは在日米軍司令官として最適の人材を配置したのではないか!」と挨拶した。これに対し、ライト司令官は講演ブリーフィングで言及した「人と人との繋がりの重要性」を再度強調した上で、「日米双方のエアマンの力を統合するために、本協会が結成されていることを誇らしく思う。」旨の謝辞スピーチを行った。これに続き、吉田正航空幕僚長から「米空軍を見本として航空自衛隊が発足して以来昨年で 50周年を迎えたが、こうした歴史を背景に最近における日米協力のトピックスとして、C-130輸送機のクエート派遣やコープ・サンダー演習における F-15戦闘機のアラスカ派遣に関し、米空軍から極めて多大な支援と協力を戴いたことをこの場で改めて紹介しておきたい。そして日米現役相互の掛け橋として JAAGAの益々の発展を祈念する」旨の祝辞が述べられた。その後、横澤彰夫新生つばさ会会長代理によって力強い乾杯の音頭がとられ、多数の賛助会員や日米両サイドの夫人を交えた何時になく華やいだ雰囲気の中、現役と OBの旧交を温める歓談の輪も随所に広がり、大盛会は時間を過ぎてようやく宴を閉じ、ここに第 10回総会関連行事の全てが終了した。 (吉田理事)

 

第10回総会・講演会及び懇親会