皆様こんにちは。米国と日本の緊密な関係を象徴し、二つの空軍をより緊密にしている重要な団体、日米エアフォース友好協会の皆様に対する講話の機会を頂き誠に光栄に存じます。特に、ご招待いただきました日米エアフォース友好協会会長の遠竹元空将、また、私にこのような機会を直接、与えて頂きました第5空軍司令官ライス中将に対しまして、厚く御礼申し上げます。

 過去、約2年に亘り嘉手納基地及び第18航空団を指揮するという名誉な仕事をさせて頂きました。残り数週間で、今回の任務を終了しますが、沖縄における米空軍駐留の特性について、私の見方や私の結論についてしばしの間皆様と一緒に考えてみたいと思います。

 私や家族が日本の文化を経験する機会を得たこと、これは非常に特別な意味がありました。これが最初にお伝えしたかったことです。日本を離れる時には、おそらくこの経験が最も大切な思い出となることでしょう。この2年の間に私たち家族は沖縄のあちらこちらを訪ねました。2月には長い週末を三沢で過ごし、京都、長崎、岩国、奈良、広島、宮島へと足を伸ばす一方、南日本への旅もしました。もちろん東京でも2、3日を過ごし、また、富士山にも登りました。行く先々において、日本の人々は親しみ深く、丁寧で、礼儀正しく、また、誇りをもっていることを感じることができました。日本に滞在中、私たち家族が多くの人々と知り合えたことに感謝しています。

 嘉手納基地への転属は私にとって初めての太平洋地域への赴任でした。赴任する前から、沖縄には、独特の事情がありチャレンジングな環境があることを理解していました。嘉手納基地についてあまりご存知でない方のために付け加えますと、嘉手納というところは、周りにいくつかの町が隣り合わせの小さな町で、その町を経営しているような感じが少しあります。

 嘉手納基地は、米国空軍で最大の飛行戦闘航空団であり、約2万5千人の人々と4種類の航空機を操るチームです。職務は多忙です。しかし業務の傍ら、月におよそ5、6回のF-15の飛行をこなしました。

 皆様もご存知のように沖縄、日本政府、米軍の関係は非常に複雑です。私たちはそれぞれの懸案事項や関心事項があります。しかし、結局のところ日米の大多数の人々は、沖縄における米空軍の駐留が、同盟関係を持つ日本とのパートナーシップのもと、当地域に50年以上にも長く続いてきた平和を支えて来たことを理解しています。米空軍の駐留が、長期にわたる安全保障と両国の国益にとって、極めて重要であるということです。

 私たちが、将来、成功できるかどうかは、協力関係を継続し、開かれた対話を行い、そして、私たちが同じ価値観−自由を共有しているということを認識することが鍵となると思います。生きる自由、家族を育てる自由、そして、指導者を選ぶ自由が、両国の誇り高い遺産を守り、また、育てることに寄与できるのです。

 沖縄における協力と対話には、二つの相手先があります。まず容易な方から申し上げれば自衛隊との協力関係です。米空軍は航空自衛隊と密接な運用を行っていますが、統合運用能力の向上が沖縄における安全保障にとり重要であることは明らかです。幸いに私は在沖縄の航空、海上、陸上の自衛隊の指導者の方々とも懇意にさせて頂き、彼らの任務についてまた日本の防衛に寄与するため、統合力をいかに発揮しなければならないかなどについて、理解を深めることができました。

 統合はキーワードです。この2年の間に多くの進展がありましたが、さらにより頻繁により多くの訓練を合同で行う方法を模索し続けること、特に共通のデータリンクを通して得られる情報の共有化をいかに図るかが大切です。更に沖縄を空、海上、あるいはサイバーテロ等の想定される攻撃から防衛するための統合計画にもっと多くの詳細な要素を組み入れ、日本における私たちの安全保障に影響を及ぼす可能性に対し、幅広い多様なシナリオで補完し、これらの計画や戦術を充実させなければなりません。

 横田基地に、2、3年後に設立される共同航空運用センターによって私たちはまた一歩前進することと思います。と同時に、私は沖縄に対してもっと注意を払うべきであると思います。ほんのわずかな予告により、われわれの能力を向上させ、努力の方向を統合できることが大切です。指揮統制という観点から二つの空軍を緊密に連携させるため、沖縄でいかに機能するのかという点を注視し、日本の自衛隊と米国統合軍が迅速かつ効果的に対応できる態勢にあることを確認する必要があります。

 沖縄において協力と対話で最も困難な場面は、地元地域との協調関係です。嘉手納基地の運用は、地域の方々の生活に多大なる影響を与えて来ました。私たち米軍の任務遂行の必要性と地元の人々の関心の均衡を保ちながら、空軍としてできうる限りの措置をとることが責務であります。指揮官の仕事として、この点が一番難しく、悩むところです。

 今回、航空団の指揮を取ることは二回目でした。フロリダにあった基地が最初でしたが基地の周辺住民の人々からも、沖縄と同様、安全、騒音、環境問題等の懸念が寄せられました。米国においてもそれらの問題に取り組むことは容易ではありませんでした。更に、ここ沖縄においては、文化の違い、言葉の壁、複雑な歴史背景などがあり、チャレンジングな仕事となっています。

 公的な面と私的な面、本音と建前ですが、それを理解し、また、新聞に掲載されるすべての記事が個人に帰するものではないと学ぶことに努力しました。最終的には地域の指導者の方々、特に周辺の市町村長の皆さんには、毎日私たちが何らかの歩み寄りをしていること、また、私たちが地元に対する影響を最小限にするために、できるうる限りの対応をとっていることを理解して頂いていると思います。アメリカと日本の間に安全保障の合意がある限り沖縄に米軍が駐留するというのが事実です。例えお互いに同意しないことがあったとしても、常に会話をし、お互いの意見を尊重することが極めて大切であると考えます。

 最後にまとめますと、今回の嘉手納基地での勤務は私にとって大変素晴らしいものでした。自国のために懸命に働く多くの空軍将兵を指揮するという身に余る光栄、経験をさせてもらいました。そのような同胞がいるからこそ、私は空軍にとどまっているのだと自負しています。最も緊密な同盟国である日本の人々とともに仕事をし、栄誉ある仕事に責任を持って没頭できることは、誠にやりがいのあることでした。すぐに日本を離れることになりますがここで得た友人とたくさんの思い出は私の残りの人生に永遠に続くものと思います。

 最後にこのような機会をいただき、改めましてありがとうございました。

         (平成21年5月21日、JAAGA総会時講演、グランドヒル市ヶ谷)

JAAGA講演会(2009・5・21)

「沖縄における米空軍」
第18航空団司令 ウィリアムズ准将